お茶の種類

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日本茶を買おうと思っても、「それぞれの違いがよくわからない」「どれを選べばいいのかわからない」と感じたことはありませんか?「お茶」と一口に言っても、茶種や品種、産地など、見方によって分け方や呼び方もさまざま。ここでは、代表的なお茶の分類方法をマスターしましょう。

 

【発酵度合いによる分類】

緑茶もウーロン茶も紅茶も、同じ茶の葉からつくることができます。これは、摘んだ後に茶の葉に含まれる酸化酵素が発酵することで、カテキンやカフェイン、アミノ酸などの成分の性質が変化するとともに、味わいや香りも変化する特性を利用しています。発酵は加熱することで止めることができます。

 

■不発酵茶(緑茶):茶の葉を蒸したり炒ったりして発酵を止めたもの。日本でつくられる茶の大部分を占める。

■発酵茶(紅茶):完全に発酵させたもの。紅茶は世界で最も飲まれているお茶。

■半発酵茶(ウーロン茶など):紅茶より早い段階で発酵を止めたもの。中国茶には多くの半発酵茶がある。

■後発酵茶(プーアル茶など):酸化酵素によって発酵させるのではなく、乳酸菌などの微生物の働きによって発酵させたお茶。

 

【茶種による分類】

一般的にお茶を買う際に使われる呼び方です。お茶の栽培や製造の工程、原料の名前に由来するものが多く見られます。

 

■普通煎茶:日本で最も一般的な「お茶」。摘んだ茶の葉をすぐに蒸して(30~40秒ほど)揉みながら乾燥させたもの。爽やかな香りと、旨み・渋みが調和している。

■深蒸し煎茶:普通煎茶よりも2~3倍ほど長い時間蒸したもの。葉の繊維が壊れて細かくなるために抽出しやすく、濃厚な味わいと濃緑の水色(すいしょく)が特徴。

■玉露・かぶせ茶:摘採の前に茶畑に覆いをかけて日光を遮ることで、苦み渋み成分であるタンニン(カテキン)が抑えられ、旨み甘み成分であるテアニン(アミノ酸)がたっぷりと含まれる葉になる。特に玉露の味わいは“出汁のよう”と表現されることも。かぶせ茶(7日間前後)よりも玉露(20日間前後)のほうが長く覆いをする。

■碾茶・抹茶:摘採の前に茶畑に覆いをかけて日光を遮ることで、苦み渋み成分であるタンニン(カテキン)が抑えられ、旨み甘み成分であるテアニン(アミノ酸)がたっぷりと含まれる葉になる。この茶の葉を、製造の際に蒸した後、揉まずに乾燥させたものが碾茶となり、さらにこれを石臼などで挽いたものが抹茶となる。

■ほうじ茶:煎茶や茎茶を強火で焙煎したお茶。香ばしくて、煎茶よりもカフェインやカテキンが少ない。

■玄米茶:煎茶に炒った玄米をブレンドしたお茶。煎茶よりもカフェインやカテキンが少なく、玄米の香ばしさが特徴。

■蒸し製玉緑茶・釜炒り製玉緑茶:製造する際に、茶の葉を真っ直ぐに整える工程がないために、勾玉状に仕上がったお茶。「ぐり茶」とも呼ばれる。蒸気で蒸す方法と、大きな釜などで炒る方法がある。味わいは渋みが少なくまろやか。

■粉茶・茎茶・芽茶:煎茶の製造工程で生じる粉や茎、芽などでつくったお茶。それぞれ独特の味わいがある。

■粉末茶:煎茶を石臼などで粉末状にしたもので、お湯に溶かして簡単につくれる。回転寿司屋などでよく使われている。

 

【摘採時期による分類】

茶の葉は、同じ茶の樹から多くて1年に4回ほど摘むことができます。1年で最初に摘まれたものを一番茶として、以降、二番茶、三番茶と続きます。旨み甘み成分のアミノ酸をたっぷりと含む一番茶が最も上質で美味しいとされ、二番茶以降はだんだんと苦み渋み成分のカテキンや繊維質が増え、香味とともに価格も下がっていきます。

 

■一番茶(新茶):主要産地では4月上旬から5月中旬頃に摘まれる。「新茶」とも呼ばれ、清々しい若葉の香りを楽しめる。

■二番茶:主要産地では6月上旬から7月中旬頃に摘まれる。

■三番茶:主要産地では7月中旬から8月上旬頃に摘まれる。三番茶を摘まずに秋冬番茶を摘む地域もある。

■四番茶・秋冬番茶:主要産地では9月中旬から10月上旬頃に摘まれる。

※茶の葉を摘む時期は地域によって多少異なります。

 

【生産地による分類】

茶の葉の生産地を表す分け方です。

 

■日本茶、中国茶、台湾茶、ベトナム茶、ジャワティー(インドネシア)など

 

■狭山茶(埼玉県):「狭山火香」という独特な香りがあり、渋みの中にも甘みがある、爽やかなお茶として知られる。

■静岡茶(静岡県):茶の生産量全国第一位で、県内各地でも自然環境を活かした産地ブランドを確立している。深蒸し茶の主産地。

■伊勢茶(三重県):茶の生産量全国第三位で、北勢地方はかぶせ茶が多く、南勢地方は深むし煎茶が多い。

■宇治茶(京都府):歴史的な茶産地として知られ、玉露、碾茶などの高級茶はいずれも生産高全国一位。

■八女茶(福岡県):八女地方全域を中心とする煎茶の産地。星野村を中心とする山間部の玉露は生産量全国トップクラス。

■かごしま茶(鹿児島県):茶の生産量全国第二位。全県的に生産され、薩摩地方の平坦茶畑では大型機械化栽培が進んでいる。

 

【品種による分類】

お米に「コシヒカリ」や「ひとめぼれ」といった品種があるように、お茶にもさまざまな品種があり、それぞれ味わいや香り、水色(すいしょく)に特徴があります。

 

■やぶきた:日本で栽培される茶の約75%を占め、幅広い茶種に使用されている。爽やかな香りと、旨みと渋みのバランスのよさが特徴。

■ゆたかみどり:鹿児島県が主産地で。ゆたかな緑の水色(すいしょく)と味わいが特徴。

■さえみどり:鹿児島県、宮崎県が主産地。茶の葉は冴えた緑色で、渋みが弱く旨みが強い。

■おくみどり:鹿児島県、三重県、京都府が主産地。茶の葉は奥深い緑色で、すっきりとした香味。

■さやまかおり:静岡県、埼玉県、三重県が主産地。狭山茶のある埼玉県で生まれ、濃厚な香りが特徴。

 

【茶の葉以外からつくられるもの】

茶の葉以外を原料としていますが、茶のように煎じて飲むことから大きな意味で“茶”と呼ばれます。

 

■麦茶、そば茶、どくだみ茶、杜仲茶、ハーブティーなど

 

ご紹介した以外にもまだまだたくさんの「〇〇茶」がありますが、まずはこちらを参考にして毎日のお茶を選んでみてください。

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