お米には新米があるように、ワインにはボジョレーヌーヴォーがあるように、お茶にも一年に一度、旬の美味しさが楽しめる“新茶”があります。
新茶とは、その年の最初の新芽を摘み取ってつくられたお茶のことで、一番茶とも呼ばれます。(お茶は一年に4回ほど収穫されます。その年の4番目に摘まれたお茶は四番茶と呼ばれます。)摘み取る時期は地域によって多少異なりますが、4月中旬頃から5月中旬頃になります。
「夏も近づく八十八夜♪」でおなじみの「茶摘み」の歌。八十八夜とは、立春から数えて八十八日目にあたる日のことで、ちょうどこの頃が一年で最も美味しいお茶が採れる時期とされています。茶産地は、茶畑のまばゆいばかりの若葉色に染まり、"緑の絨毯"と表現されることもあります。(2019年の立春は2月4日、八十八夜は5月2日)
新茶は昔から不老長寿の縁起物とされるほか、八十八夜に収穫されたお茶を飲むと一年間無病息災で過ごせると伝えられています。実際に、八十八夜前後に摘み取られたお茶は、新茶の中でも最も栄養分が豊富とされています。
茶の樹は冬の間、休眠しながらたっぷりと養分を蓄え、その養分を力にして、春先に一気に芽吹きます。その新芽を摘み取ってから、新鮮なうちにすぐに製造するので、新茶には美味しさが凝縮されるのです。
やわらかな新芽を使った新茶は、渋味や苦味の元であるカテキンやカフェインが少なく、逆に旨味や甘味の元であるテアニン(アミノ酸の一種)、水分やミネラル分をたっぷりと含んでいるため、ゆたかな旨味・甘味とともに若葉のような爽やかな香りが楽しめます。
<新茶の美味しい召し上がり方>
旨味や甘味の元であるテアニンをたっぷりと含んだ新茶は、低めの温度のお湯で抽出します。高めの温度のお湯の場合、渋味や苦味の元であるカテキンやカフェインが多く抽出されてしまうのです。
お湯の温度は約70℃、茶葉の細かい深蒸し茶なら30秒ほど、茶葉の大きい普通煎茶なら60秒ほど抽出すると、新茶ならではの爽やかな風味を引き出すことができます。
詳しくは「美味しいお茶のレシピ」を参照してください。